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2005年6月20日 (月)

ジ・インナー・オア・ディープ・パート・オブ・アン・アニマル・オア・プラント・ストラクチャー The Inner Or Deep Part Of An Animal Or Plant Structure

ビヨークのメダラDVDの「ザ・メイキング・オブ・メダラ」をようやく観ました。アルバム「メダラ」の創作過程の一部分の紹介です。非常に興味深い内容でした。

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まず私が気になったのは、なぜこのDVDを発表しようとしたのかということでした。ビートルズの「Let It Be」のドキュメントフィルムの例を持ち出すまでもありませんが、こういう創作過程を撮影すると言うことはアーチスト側にとって非常にストレスになるだろうと思うのです。もし自分の仕事しているところを取材させて欲しいと言われたら(そんなことはありえませんが)普通の状態ではいられないことは簡単に想像できます。それでも制作過程を記録して、作品として発表したのは、(私の邪推ですけど)この「メダラ」というアルバムが誤解を受けやすいと考えたからではないでしょうか。
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このアルバム、私は前作の「ヴェスパタイン」よりも気に入っています。何よりも曲が良いということがありますが、一聴しただけではヴォーカルだけのアルバムとは判らないくらいスムースで、肉感的です。けれども(矛盾した言い方かもしれませんが)人間の声だけで創り上げたアルバムであるため前作の「ヴェスパタイン」ほど完成された音にはなっていないと思っていました。「ヴェスパタイン」は緻密に創り上げられた究極のアルバムでしたから(息が詰まりそうなくらい)。そして曲数も少ないし収録時間も短いですよね。
このDVDを観てまず気づくのは、それぞれの声のパートだけ取り上げてみるとそれぞれの人が変な声を出したり、叫んだり、というふうにしか聞こえないと言うことです(ヒューマン・ビートボックスのラゼールは編集前からすごい完成度でしたが)。それをこれだけの作品に仕上げるには、かなり高度なデジタル編集作業を根気よく続けなければならなかっただろうと想像できます。前例のないアルバムですから、ビョーク本人にも、エンジニアにもかなりプレッシャーだったと思います。いわゆるロックのアルバムであればこれまでのノウハウを生かすことも可能でしょうが...
これは本当に素人の感想なんですが、高度なデジタル編集という意味では「Let It Be....Naked」に似ているのかもしれません。非常にナチュラルな仕上がりですけど実はいろいろなトラックを切り刻んで創り上げていると、何かの雑誌(レコードコレクターズ?)で読んだことがあります。「....Naked」ではなくて「....Remixed」のほうが正しいという書き方だったと思います。
DVDの中でマーク”スパイク”ステントが「人間の声には限界があり扱いが難しい〜プログラムされた音のように毎回同じではない〜もっと感情的な作品なんだ」と言っています。
単に「楽器の代わりに声を使った」のではないということなのでしょう。「メダラ」を創り上げるためには他のトラックもいろいろ試したと思いますが、この方法でなければ完成品にならなかったのでしょうし、ビョークの頭の中で流れている音を表現するためには、あえて”ヴォーカルのみ”で創り上げることが必然であったのだと思います。(”Oceania”がピアノ+エレクトロニカのバージョンでちょっと流れましたが全く違う印象でしたから)。

ビョークがオートクチュールの(ような)服を無造作に着ていたことにも驚きました。それも毎回違うドレスなんです。レコーディング中はシンプルな格好をしているのではないかとなんとなく思っていたものですから、ちょっと意外でした。でもお化粧はシンプルなので凝った服を無造作に羽織ったという風なんです。そういうちょっと過剰な感じとかアンバランスな感じが岡本太郎的かな?とちょっと思いました。

あとロバート・ワイアットとビョークが一緒にいるところも観たかったな。

「Let It Be」ドキュメントフィルムのジョージのようにうまくいかなくて不機嫌そうなビョークも観たかったですが(お蔵入りしたフィルムにはあるかもしれませんね)、このDVDはいろいろ想像をかきたてられる内容です(ねこ旦那のPVもついてる!)。「メダラ」がもっと好きになりました。

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コメント

はじめまして。
トラバありがとうございました!

「メダラ」のメイキングDVDが出てるとは知りませんでした。
るきさんの記事を読んで、これは見てみなくては!と思ってます。
ビョークの中でも「メダラ」はかなり大好きな作品だし、
あのサウンドがどの様にして作られたのかも興味大です。
ビョークのドレス姿も見たいです♪

トラバ頂けて感謝しています!
ありがとうございました~

投稿: 亜希 | 2005年6月22日 (水) 10時40分

るきさん、こんにちわ。
ほかのコメントがクローズなので、こちらへ。

新手の「不幸の手紙」ブログ版だと思います。
巻き込まれるのはつまりませんから、削除だけさせて
いただきました。実は、前にも着たので、危険です。
これからも、ヨロシク(^o^)/

投稿: mari | 2005年6月22日 (水) 15時10分

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