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2007年5月16日 (水)

ザ・ダル・フレイム・オブ・デザイア The Dull Flame of Desire

ビョークの「Volta」、今日は3曲目の「The Dull Flame of Desire」です。

この曲がこのアルバムのハイライトと断言してしまいましょう。ボーカルとブラスとドラムでつくりあげられたこの曲。ギターもベースもありません。シンセの刺激的な音もありません。
壮麗なブラスに導かれてビョークの厳かなボーカルでこの曲は幕を開けます。そしてアントニーの透き通った凛とした声が絡んでくるんですよね。ホント、アントニーの声は素晴らしいよ。

で、その火花散るボーカルの後ろでは静かにドラムが聴こえ始めます。二人の心臓の鼓動のようでもあります。

二人のボーカルが頂点に達したとき、アントニーの声が去り、そしてビョークの声がぶっきらぼうに終わります。けれどもドラムは二人の胸の高鳴りの余韻としてビートを刻み続けるのです。

このドラムがとても素晴らしい。野卑であるけれども品があるというかね。この曲をふくらみのあるものにしているのはこのドラムによるところが大です。クレジットを見るとブライアン・チッペンデール。ライトニング・ボルトというバンドのヒトらしいです。今月号のロッキング・オンのビョークインタビューによると

....というのも、リズムに関しては随分沢山色んな試みをしてみたんだけど、全部ボツにしちゃったの。なぜかって言うと、プログラミングされたドラム・ビートを用いて、凄く巧いものが作れた、とその時は思っても、結局どれもみんなウソっぽくて、このアルバムにはどうもしっくり来ないのよ....

うーん、なるほど。この2曲あとに「I See Who You Are」というこれまた秀逸な曲があります。アルバムの最後にはこの曲のボーナストラックとしてMark Bell Mixが付いているのですが、いかにも「プログラムされた」ミックスなんだな。これはこれで「Post」の頃のビョークみたいで良いんだけれど、ちょっと物足りないんだよね。おそらく「The Dull Flame of Desire」もプログラムされたビートから人力ビートへ置き換えられたんではないかな。

いろいろとうだうだ書いてきましたけどなんかもどかしいなぁ。とにかくこの曲を聴いてよ!という感じですよ。ほんと鳥肌立つほどジーンとしちゃうんです。できたら、次のシングルはこの曲で行って欲しい。

ただね、歌詞はあまりに格調高くてちょっとぴんと来ないんですけどね。アンドレイ・タルコフスキー「ストーカー」に登場するフョードル・チュッチェフの詩を引用したらしいんですけど.....

あなたの瞳がいとしい、愛する人よ
その壮麗に煌めく火が
ふと視線をこんな風に上に向けて
抱擁するかのような一瞥をこちらに投げかける時の
それは空で光る稲妻にも似て
けれどそれにも勝る魔力が宿っている
わたしの愛する人が視線を落として
情熱のキスによって全てに火が点された時
目を覆うまつげの隙間から
わたしには欲望の緩慢な炎が見える

そして4曲目はこの格調高い曲から一転してポップに舵を取り直していくのです。

Dscf2539

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