2008年4月14日 (月)

宜候 (YOSORO)

「オーライ、船長、船酔いしそうですよ」

思わずこんな言葉をつぶやいてみたくなるようなアルバムが
「ヘイト船長とラヴ航海士」
なのでした。

ヒップホップ以降のサイケデリックとでも言いましょうか。
どう展開するか予断を許さないスリリングな作品なのですよ。

私はムーンライダースは全く聴いたことがないので
(なんでかなぁ。いつも気になってはいたんですが
ホントに聴いたことがないんです)
この「視界不良」な音作りが慶一さんの意向なのか
恵一さんのディレクションなのかはよくわからないですが
どちらにしろ作品のクォリティを考えるとこの組み合わせが大成功なのは
間違いないでしょうね。

言葉遣いも独特。
慶一さんのつくる作品っていつもこんな感じなんでしょうか。
意味ありそうで(たぶん)無いような歌詞が
聴くたびにいちいち引っかかってきます。
この「実験的な構成」はなんとなく70年代の雰囲気が香りますね。
「アングラ」なんていう言葉が思い浮かびます(よく知らないけど)。
LPをひっくり返しながら聴くとぴったりかも。

古臭いけれども21世紀の日本でなければ生まれない。
湿っていて、薄暗くて、なんだかせつない。
そう、とても「せつない」作品集なのです。

今年のベストはもう決まり(かな?)。
聴かなきゃ損する出色の出来としておきましょう。

Keiichi

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2007年10月 9日 (火)

ビザール・ラヴ・トライアングル Bizarre Love Triangle (iTunes Originals Version)

iTunes storeでNew Orderの「iTunes Original」を購入。

New_order

注目ポイントはNew OrderによるJoy Divisionのカバーです。 New Orderとしての楽曲のセルフカバーも面白いところですね(本人達による解説が曲の間に挟まっていますが悲しいかな全く理解できず)。新録音を並べてみると

Transmission (iTunes Originals Version)

Bizarre Love Triangle (iTunes Originals Version)

Love Vigilantes (iTunes Originals Version)

Run Wild (iTunes Originals Version)

Waiting for the Sirens' Call (iTunes Originals Version)

Love Will Tear Us Apart (iTunes Originals Version)

ファンとしては嬉しいところですが、どうしても「手馴れた」感じに聴こえてしまってちょっと複雑な印象ではあります。特にJoy Divisionの曲には妙な違和感を覚えてしまいました。バーナードのボーカルをイアンのものと比べる事自体も意味のないことですが....

どうして唐突にこういう発表になってしまったのかよくわかりませんが、10月に発売される映画のサントラがらみなのでしょうか(イアン・カーティスの伝記映画ですね)。New Orderの面々のこれまでの発言を見るとあまり深く考えるヒトたちではないようですから「企画モノ」として、軽いキモチで聴くのがよいのかもしれません。

全然関係ないことだけど、大昔、ピーター・バラカンがNew Orderを称して「音楽的才能が全くないのに、ビデオ作品は一流」みたいなこと言っていたのを思い出してしまいました(ポッパーズMTVの頃かな)。当時私はカチンときながらも妙に納得していたのでした。

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2007年10月 2日 (火)

ターン Turn

いよいよというか、満を持してというか
米アマゾン、コピー制限なし200万曲のネット配信を開始
らしいです。iTunes storeの対抗馬、やっと登場というところでしょうか。

これをきっかけにアメリカの音楽市場が激変しそうな気がします。
キーワードは「DRMフリー」と「携帯電話」かな。

これからは欧米でもiPhoneとかiPod touchを起爆剤にしてネットにつないで音楽を購入する、ということが当たり前になるような気がします。
早晩、いろいろな携帯電話の機種がいろいろなメーカーから出てくると思いますが、その時の問題点はiTunesにアクセスできるかどうかということですね。その点、Amazonであれば敷き居が低そうに思うのですけど(技術的に簡単かどうか、とかはわかりませんけどね)。

あとは当然「DRMフリー」です。そうなれば「携帯におとして、PCでバックアップ」なーんてことが簡単にできそうですもんね。

日本では携帯電話で似たようなサービスがあるようですけど、ああいった小手先の技術というか思想みたいなものは欧米の合理性の前では木っ端みじんになってしまうのではないでしょうかね。「ユーザーをがんじがらめにして、年貢を巻き上げる」みたいな考えはね。

CDが無くなるとは思えないけど、この数年で音楽に対する方向性が大き変わるような気がしてしょうがないです。

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2007年9月11日 (火)

テンプテイション Temptation

最近なぜかiPodでNew Orderを選んでしまうことが多いなぁ。

聴くのはもっぱら「権力の美学(すごい邦題)」とか「Low Life」あたりなんですけどね。

昔はそれほど感じなかったんですが、あらためて聴くとすごく”ぎくしゃく”してます。で、この”ぎくしゃく”した感じが何とも言えず良い塩梅なんですね。「ざっくり作って、仕上げはテキトーに」が奇跡的にうまくいっているケースでしょう。その不器用な感じがこころを打つのかもしれません。

最近の作品もまぁ良くはあるんですが、「”ぎくしゃくした感じ”をきれいにパッケージしました」みたいな印象が強くてなんとなく手が伸びません。クォリティは昔の何倍も高いのですけどね。作品を創り上げるというのは難しいものです。

Dscf28881

「Low Life」のLPジャケットから。外ジャケ、内ジャケにゆがんだ顔の4人のポートレイトが並んでいます(はじめからゆがんでいるヒトもいますが)。ある意味、「ラバーソウル」的でもあるます。

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2007年9月10日 (月)

タイムボム Timebomb

Beckのシングル「Timebomb」をiTSからゲットです。

この時期に何ゆえのシングルかはよく分かりませんが(新譜が出るの?)、1曲のみでした。

新曲はこれまでありそうでなかったデジタルなファンクナンバーでとてもカッコよろし。
曲もさることながら、アレンジに「ぐっ」と来ます。このヒトは音をピックアップするセンスが飛び抜けてるよね。何回もリピートしてしまってます。

でもこの1曲だけでは物足りないよな。

Timebomb

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2007年9月 5日 (水)

我が名はグルーヴィー Groovy Is My Name

bossa nova 1991: shibuya scene retrospective を購入。

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いわゆる「渋谷系」のコンピ盤ですね。小西康陽さんの監修です。
私は「ピチカート・マニア」でしたのであまり新鮮みはないかなと思っていたのですが、ほとんど知らない曲ばかり。考えてみたらピチカート以外の日本モノってあんまり聴いた事がなかったのでした。

このアルバムを聴いてまず思ったのがコンパクト・オーガニゼーションのコンピ「Young Persons Guide To Compact」と手触りがとても良く似ているということ。「Young Persons Guide To Compact」の楽曲は1曲ずつ取り出したら何ということもないのですが(でも小さいアイディアに富んだ曲とアレンジ)、アルバム単位でまとまると「ある種」の雰囲気を醸し出しているんですよ。
「Young Persons Guide To Compact」はかなりチープな音で、売り物として「ぎりぎり」なので、小西さんのコンピと比較するのはちょっと気が引けますが、やっぱり似てるような気がするんだなぁ。

(「コンパクト・オーガニゼーション」で検索をかけたら「青少年のためのコンパクト・オーガニゼーション入門」として8月25日に再発されているじゃないですか。タイムリーでした)

ミュージックマガジンもピチカートの表紙で渋谷系の特集していましたね。

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誌面の小西さんインタビューを読むと、彼が北海道出身で....なんとことが書いてありましたけど、そんな下りを読むと「東京ガールズブラボー」が連想されるわけです(でも小西さんはこのマンガの主人公の「サカエちゃん」とは違ってYMOにまつわるあれこれを目の上のたんこぶと考えているようですが)。

話は飛びますが、この「東京ガールズブラボー」の主人公「サカエちゃん」は、なんというか、「私」なんですよね。そりゃ、私はオトコだし、田舎に住んでる性格の暗い高校生だったけど(昔で言う「ネクラ」かな)、主人公の感じ方(考え方ではなくてね)にとても共感できたんだよね。今読み返してもなんか「きゅん」となります(キモチ悪い?)。
たぶん、このマンガのオーラみたいなものは同時代を生きて、「あの感覚」を覚えた者だけに強烈に訴えるものがあるのだろうとぼんやりと考えたりしています。

サカエちゃん」は今ごろどう生きているんだろう。

Dscf2844

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2007年9月 4日 (火)

トゥ・グッド・トゥ・ビー・トゥルー Too Good to be True -yanokami version-

yanokami(矢野顕子+レイ・ハラカミ)が良いですね。とてもクールな作品です。

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矢野顕子さんに関しては私は全然良いリスナーではなくて、彼女の印象は実は80年代で止まっているのですが、この作品はとても気に入ってます。

彼女のボーカルは私のイメージ的には「自由奔放」だったので、このアルバムを耳にした時はなんだかこじんまりしちゃったなぁ、と思ったのですよ。でも聴いていると、お互いの控えめな主張し具合がとても心地よくて、何回もリピートしてしまいます。
新曲は少ないようですが、まずは「練習試合」としては上出来なのではないでしょうか。是非この組み合わせで「次」も期待してます。

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2007年8月17日 (金)

ザ・ワン・ユー・ワナ・シー The One U Wanna C

プリンスの新譜も発売です。「Planet Earth」

今回のアルバム発売に先立ってはいろいろな雑音が聞こえてきましたが(プリンス、発売前のCDを新聞付録に 音楽小売業界「侮辱だ」)、音そのものはとても良質で、前作の「3121」の延長線上といって良いでしょう。

それはそうと、CDを新聞の付録に付けてしまっちゃった理由が私はなんだかよく分からなかったのですが、音楽配信メモさんに真相(だろうと思います。プリンス本人が真相を語るまでは結局は判りませんが)が書かれています。これは「なるほど」ですね。是非読んでほしい記事です。

昔からこの人は改名騒ぎとか、レコード会社をめちゃめちゃ非難したりとか(お顔に”slave”とペイントしてゲリラライブとかしていたんではなかったかしら)、いろいろ逸話の多い人でしたが、このブログを読むと、あれは一本筋が通っていた出来事だったように思えてきます。騒動を起こした当時のマスコミの論調は「あの人は変わり者だから」であっさり片づけられていた覚えがありますけどね。

音楽配信メモさんの印象的な言葉を引用です。

状況は混沌としているが、間違いなく言えることは「音楽ビジネス=CDビジネス」という時代が終わったということだ。プリンスの今回の「行動」と「成功」 は、1つの時代の終わりを告げる象徴的な出来事であり、今後音楽業界がどこに向かうのか示す1つのメルクマールとして多くの人に記憶されるのではないだろ うか。

あれ、レコード評書いてなかったよ。

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2007年8月16日 (木)

レスキュー Rescue

HASYMOの新曲「Rescue」。

Rescue

実質、YMO再結成、なわけです。「RYDEEN79/07」に続く待望の新曲でしょう。確かNHKでのHASテレビ特番でも披露されていましたよね。私としては細野さんの声がはっきり聴こえるのが嬉しいところです。音は最近のSKETCH SHOW〜高橋幸宏さんのソロの路線でしょうか。

でも、なんだかもどかしいなぁ。YMOと言えばこれまでアルバム単位でしか聴いたことがないからか、この1曲だけだと再結成をしてまでいったい何をやりたいのかよくわからないのですよ。

えっ、まさか、この1曲だけということはないですよね。頼みますよ、皆さん。

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2007年8月 9日 (木)

イノセンス Innocence

ビョークの「Innocence - EP」をiTSからダウンロードしました。バージョン違いで4曲入り。

Innocence

普段の生活ではこういう形式のアルバムは使い道に困ってしまいます。続けて聴くのはちとつらいです。いろいろなミックスを聴けて楽しくはありますがね。

この「Innocence」を「Earth Intruders」に続く第2弾シングルに持ってくるのは、まぁ妥当なところといっていいでしょう(次のシングルカットは「The Dull Flame of Desire」希望です)。なんといってもポップですからね。いわゆるエレクトロニカで「Post」路線でしょうか。

ビョークの今回のアルバム「Volta」は「陽性」のアルバムとよく言われますが、アルバムを通して聴いてみるとそうでもないのですよね。おそらくファーストシングルの「Earth Intruders」、今回の「Innocence」の印象が強いためでしょう。いわゆる”ポップ”な曲はこの2曲だけなんです。

アルバムの曲順で行くと格調高く激しい「The Dull Flame of Desire」からポップな「Innocence」へと見事に場面が変換します。そして実験的アレンジの「I See Who You Are」へと続いていくのです。

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