ハート Hurt
ディレクターズ・ラベル。今回はマーク・ロマネックの作品集について少し書いてみます。
前回はアントン・コービンの作品集を紹介しましたが、私はマーク・ロマネックの方が好みですね。アントンの作品は静止画的でどこで切り取っても画になるものが多く、写真家がミュージックフィルムを撮るとこうなるという印象でした。
かたやマークの作品は非常に動的で色合いがモニターによく映えるものが多いのです。私が全く興味のないノー・ダウトやリンキン・パークもかっこよく見えてしまうくらいですから "プロモーション" ヴィデオ的には大成功なのではないでしょうか。
印象に残ったモノを幾つか。
自分でも意外だったのですが、このDVDの中で最も印象的だったのはジョニー・キャッシュの「Hurt」です。
私よく知らないのですが、この人、数年前に亡くなったカントリーの大御所ですよね。この曲はナイン・インチ・ネイルズのカバーで話題になったことを覚えています。最近のミュージックマガジンのトレント・レズナーのインタビューでも取り上げられていました。
この作品はジョニー・キャッシュの自伝的なショートフィルム仕上げになっていてとても感動的です。本人の「顔」がとても素晴らしいのです。
続いてはジャネット・ジャクソンの「Got Til It's Gone」。
この曲そのものが最高でありますが、ヴィデオは画期的です。ジャネットが "黒人" として描かれているからです。彼女はいわゆるポップスターですから、これまでそれほど人種を感じさせる演出はされていませんでしたが、ブラックコミュニティの一員であることを強烈に感じさせる作品です。
ナチュラル(に見えるよう)な化粧をしたジャネットは一瞬本人とは分からないほどなんです。でもこれまでで一番きれいだと思いました。
ベック、フィオナ・アップルは、意味深に見えるけれども、おそらくそれほどの意味はないであろう作品です。でも見せ方がうまいんですよね。
レニー・クラヴィッツは凄くかっこいいライヴ作品。彼自身にあまり興味はないですけどこれを見るとCD欲しくなっちゃいます。
k.d.ラングはヴィデオ作品としてはそうでもないのですが、動くk.d.ラングが見られるんですから。曲はmy favoriteの「Constant Craving」。きゃー、素敵!
最後はマドンナ+Sakamoto教授で「Rain」。なぜ教授が?教授出演の必然性は疑問だなぁ。あんまりかっこよくないし。
この作品集は全般的にすごく良いですね。アイディアはそれほどではなくても見せ方を心得ているというか。
ただ彼の手法はもう新しくはないのかも。他の人にさんざんまねされてしまった感じがするなぁ。今後の展開はいろいろ難しい予感がします。
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